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2016年02月17日 絵付け(上絵付)

最近は高度に発達した転写やパッド印刷を駆使し、プリントされた食器が数多く販売されています。

しかし、やはり手で描かれている器の趣は一味違うもの。

今回は色絵、中でも上絵付についてお話ししたいと思います。

 

そもそも絵付けには上絵付と下絵付があります。

染付に代表される技法で知られる下絵付は、高温で鮮やかに発色する原料が使われます。そのため色が限定されてしまいますが、上絵は比較的低温で焼かれるために色数も豊富になります。

上絵を主として制作している窯元には、このように絵具がたくさんストックされています。

もとは粉状である和絵具を水や膠で擦り溶き、自分の扱いやすい柔らかさ・滑らかさにしていくのです。

この絵具擦りだけでも三年かかる、と言われるほど、絵具を自分のものにしていくのは難しいことなのだとか。

 

さて、ここからはいよいようつわに色を塗っていきます。

うつわは釉薬を掛け(薬掛け)、すでに焼いてあります。そこに墨で模様の割り付けをし、その上から色を塗っていくのです(墨はもう一度焼く時に消えます)。

この薬掛けの前(素焼きの状態)に絵を描くと「下絵」、施釉し、本焼成後に描くと「上絵」となるわけですね。

今回使用している京和絵の具は塗るときに、ある程度の厚みがないと焼きあがった後で美しい発色になりません。

この淡いパステル調の色の部分には絵具が塗ってあります。

近くで見ると、絵の具の部分がポコッと盛り上がっているのがわかります。

絵具を塗る作業は、「塗る」というより「置く」、「盛る」という感覚。そのため細かい模様になればなるほど難易度が上がります。

しかし、そこは熟練の技の見せ所。スッスッスッと、筆を走らせ、見事な模様が出来上がっていきます。

※この木板は絵筆を持つ手を固定するためのもの。

この器は直径約7cmほどの小さなうつわです。その縁にさらに小さな七宝の模様が描かれているのがお分かりいただけるでしょうか。

いやはや、アップにしてもわかりづらいほどの細かさ(筆者の撮影能力の問題もあります。ごめんなさい。。)。

この作業の後、約800℃近くの温度で焼成します。この焼成で、先程の絵具が鮮やかに発色します。

 

そして、最後に金彩の絵具で絵を描いていきます。

金彩は華やかさを演出するだけでなく、絵具で色を塗った部分の輪郭線を描いたり、アクセントとなる絵を描いたりして、作品全体を引き締める役割もしています。

つまり、まだまだ細かい作業は続いていということで。。見ているだけでも息が詰まりそうなほどの緊張感のある作業です。

こちらは青海波の模様を描いているところです。

こちらもアップにしても見づらいくらいの細かさです。。

 

そして、金描きが終わるともう一度焼いていきます。

このように、素焼きから本焼成、上絵窯を複数回重ねていきます。

するとこのような美しいうつわが出来上がります。

このように、和絵具で表現する繊細な絵付けは、熟練の技が光る作業によって生み出されます。

一口に絵付けといっても様々な技法や原料、描き方があります。

機会がありましたら、さまざまな絵付けの作品をご覧になってみては如何でしょうか。

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